« iPadアプリのTouch Pianistで名ピアニスト気分。 | トップページ | 深層ニューラルネットで画像からテキストキャプション生成のデモをトロント大が公開 »

2015年5月25日 (月)

ガラス化法により低温保存してから生き返らせた線虫は過去の記憶をもっている。

Persistence of Long-Term Memory in Vitrified and Revived C. elegansという論文の紹介です。PDFもあります。

Vitrification、ガラス化法とは?

Vitrified and Revived C. elegansとはなんのことかと思って調べてみたら平たく言うと線虫を”冷凍”保存してから蘇生したということらしいです。

Vitrifiedという単語は聞き慣れないですが、What is Vitrification?を読むと分かりやすいですが、分かりやすく言えば卵子なのど細胞や小さな単細胞生物などの”冷凍”保存法のようですが、急速に冷やすことで氷が出来ない状態で固化するので、”冷凍”という言葉は不適切らしく、ガラス化法とか訳される場合もあるようですが、多分まだ訳語は定まってないでしょう。

ガラス化法を使うと線虫のような小さな生き物をグリセロールが入った溶液に漬けて、専用の機械で急速に冷やして低音保存することで長期保存可能になりますし、必要になったら専用の機械で急速に温めてやると高い確率(ほぼ100%)で生き返るようです。

うーむ、こんなことできるのかという感じです。

論文の内容

で、ようやくこの論文の内容ですが、線虫の幼虫にものを覚えさせて、Vitrificationを行い固化させてから-80度で2週間低音保存し、溶かしてからまだ覚えているか試したところ記憶が確認できたという話です。

このVitrificationという方法では急速に冷やすことと、氷の形成を防ぐグリセロールの効果で氷が膨らんで細胞を破裂することを防ぐため、細胞に対するダメージが少なく、細胞内や細胞間のタンパク質とかもよく保存されているということで、記憶まで保存できていたという話ですね。

人間でも可能なのか?

まあ上記の論文の方法ではグリセロールをうまく浸透させないといけないので、相当小さな生き物でしか高確率で生き返らせるのは無理ですが、より大きな生き物でも生き返る確率は低いですが出来なくはないと思われます。

実は氷の張った湖に落ちてしまい一時間以上心肺停止状態になってから発見されたようなケースでも、蘇生して、元気になり、脳にもなんら異常がなかったという報告は結構世界中にあります。当然、記憶も残っているわけですから上記の論文の売りの部分の「記憶が残っていた!」という部分はよく考えるとあまり新しくないぞと突っ込みたいところです。

しかも、水の温度が低いほど蘇生する可能性が高いのだそうです。つまり、ゆっくり冷やされて氷ができるよりガラス化法に近い形で速く冷やしたほうがダメージが少ないということでしょう。同じ理由で、発見されてから蘇生の手順もVitrificationのようにできるだけ急いで温めた方がおそらく生き返りやすいでしょう。

ただし、人間のように大きい生き物の場合、グリセロールの浸透も難しそうなので高確率で蘇生するのは難しいでしょう。

私の場合、グリセロールは食品中にもよく入っている化学物質なので、美味しいお刺身を世界中に輸送できるなぁと考えてしまいました。ルイベと違って寄生虫の除去は出来ないと思うけど味が落ちない低音保存法としてコストを考えなければ使えそう。

« iPadアプリのTouch Pianistで名ピアニスト気分。 | トップページ | 深層ニューラルネットで画像からテキストキャプション生成のデモをトロント大が公開 »

学問・資格」カテゴリの記事

HackerNewsうぉっち」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« iPadアプリのTouch Pianistで名ピアニスト気分。 | トップページ | 深層ニューラルネットで画像からテキストキャプション生成のデモをトロント大が公開 »

しろののツイッタータイムライン

  • ツイッターは5つ目も凍結されました。6つ目での復活も不可能。なのでnoteに注力しています。

    と思ったら、イーロン・マスクの買収が公になってアカウントが復活できました。ありがとうマスク。

    トランプ関連記事の一覧リスト

オススメたち

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

はてブ

無料ブログはココログ