2020年3月11日 (水)

ウイルスを殺すのは簡単。人に無害でやるのが難しいの!! 二酸化塩素「こう?えい!」

(お断り。この記事にあるのは全部宗教の話です(一番下のビデオを参照)。科学的な論議をしているように感じるかもしれませんが、これは全部宗教の教義のお話です。宗教の教義です。)

さて、いよいよこれについて書く時が来てしまった模様です。私は生物学専攻で職業研究者でありんすので一応薬がどう働くのかとか薬の副作用の怖さとか、どうやって臨床試験をするのかとかそれなりに知っている訳で、MMSを昨年の春に知ったときはそんなアホなというか、信じられなかったですね。というか論文いくつか読んだ今でも作用機序を理解できたとは思えないんだけど、安全性の方は適量を適切な濃度で取った場合は大丈夫そうだなというところまでは文献を読み進めて裏が取れました。

またバクテリアやウイルスを破壊して殺菌効果があるのは実際に水道水の殺菌などに広く工業的に使われているんだからいいんだけど、なぜ健康な細胞には無害なのか?というところが非常に疑問だったんだけど、これについてはNoszticzius et al (2013)らの論文(PLOS One)があり、細胞の物理的な体積の問題、組織の厚さの問題なのかとそれなりに理解できました(後述)。しかし、それでもじゃあ腸内細菌とか善玉菌はこれでいなくならないのか?とか疑問が残るのでむやみには使わないほうがいいなとは感じていたわけです。だから買ったはいいが、普通の風邪くらいでは自分でも試して見る気にはなれずにいて、自分で試したら記事にしようと思っていたのでなかなか記事にできないでここまで来たわけです。

しかし、新型コロナウイルスで状況が変わりました。私の住むヨーロッパでも感染者が日に日に増えて来てますし、治療薬が世の中にでるまでは多少時間がかかります。ワクチンも来年のシーズンに向けてでしょうし、いざという時用のオプションがほしいところです。

というわけで自分ではまだ試してませんが、だれでも入手可能な薬の情報は出してしまおうと。まあ安全性や効果はインターネットで英語圏の情報を私なりに調べた限りですので、あくまで自己責任でお願い申し上げます。

追記:実際に使ったという方とお話しましたが、100回くらい使ったけどいつも助けられる。吐き気があるときには使いにくい。なぜならMMSをすぐ吐いちゃうから。その他の症状ならけっこうなんでも効くらしい。

 

MMSとは?

まずはジョーダン・セイサ―さんの記事から箇条書きして行きましょうか。

  • MMSとはmaster mineral solutionとかmiracle mineral supplementとか非常にぼかした表現でなにかを指している略語です。
  • MMSのその正体(最終的な活性分子のいわゆるactivated MMS)は二酸化塩素chlorine dioxideであり化学式で書くとClO2です。
  • (注:Jim Humbleの定義ではMMSはSodium Chloriteつまり亜塩素酸ナトリウムで塩酸を混ぜる前のchlorine dioxideの前駆体のことを指しています)
  • ウイルス、バクテリア、がん細胞をなぜか選択的に殺します。基本的に酸化剤(大事!後述。)として働き殺菌します。
  • 汚れた水から飲水を確保するための殺菌剤としてキャンプ愛好家が広く使用しています(低濃度なら飲んでも安全性ということ)。
  • 米軍は炭疽症やエボラなどから身を守るために戦地では濃度高めのClO2で水を浄化したりします(濃度高めでもまだ飲める)。
  • jimhumble.coのジム・ハンブル氏やProject Green Lifeを運営しているダニエル・スミス氏が飲用するといろんな感染症に効くという経験を周知活動している。すでに経験者が多数いてHIV(エイズ)が治ったと主張する人がYouTubeに多数いる。MMS HIVで検索してみて。
  • ダニエルさんはあまりに効果があるMMSを広めすぎてたので製薬会社を敵に回し、裁判に負け51ヶ月禁錮となりました。
  • FDA(アメリカで新薬を承認する権威のある政府機関です)はClO2は危険であるという立場で2010年と2019年に一般向けに警告しています。

うっそ臭いですよねwww

二酸化塩素の分子構造

二酸化塩素の化学式はClO2で、図にすると以下のような構造・・。

Chlorine_dioxideelectrons_and_anglesvg

高校で化学を専攻した人ならばおわかりと思うのですが、この化学式なんか奇妙ですよね?二重結合はわかるけど、なんすかClの上の斜めの線?あまり見たことない。つーか電子数おかしくね?となりません?

食塩NaClを水に溶かすと普通イオン化して普通Na+とCl-になりますよね。酸素原子って電気陰性度高いんじゃなかったっけ?それなのに電気的にマイナスな塩素イオンが酸素2つと二重結合?中性の水のなかじゃあまりおきなそうにない変化ですね。全体的にも電子余っていて不安定に見えますね。酸化剤として使えそう?

なんて上のような雑感はウィキペディアにもはっきりと「塩素原子上に不対電子をもつ原子や分子、あるいはイオン(ラジカル)であり、反応性が高い。 」とか「塩素酸に、その他の酸を溶かして得られる。 」とか書いてあるので正しい訳ですね。つまり、あまり安定な分子ではなく、実際にMMSは使用時に酸(HCl)を混ぜて二酸化塩素を作り、活性化MMSとして新鮮な内に使用します。二酸化塩素の状態では販売していません。MMSとは酸を混ぜる前の亜塩素酸ナトリウム (Sodium chlorite)溶液のことです。亜塩素酸ナトリウムは電気的に中性で安定ですが、二酸化塩素は塩素のところの余った電子が酸化剤となる所以で、酸性の水で塩酸という二酸化塩素よりもより強い酸化剤によって酸化されてできる不安定なラジカル分子ということですね。

ウィキペディアの用途の項にも

「殺菌作用があり、殺菌目的として水を消毒するだけでなく消臭目的の消臭材などにも使われる。それだけはなくメタンの酸化目的にも使われる。パルプを製造するとき、繊維の漂白に用いられる。かつて塩素ガスが用いられていたものが置き換えられたものである。」

と書いてあるのでこの弱い酸化剤は殺菌目的に商業・工業的にもう何十年も使われてきたということがわかります。

二酸化塩素の安全性

いくら殺菌効果があるといっても、菌と一緒に飲んだ人間も殺してしまったり、飲み続けたときに発がん性があったりしては元も子もありません。二酸化塩素って飲んでも安全なんでしょうか?

ウィキペディアには

半数致死量 LD50 292mg/kg(ラット、経口)

とあります。理系の生物系じゃない方に説明すると、体重1kgにつき292ミリグラムの二酸化塩素を摂取するとラットの場合は半分の個体が死ぬという値です。まあラットは普通は1kgまでには大きくなりませんので、実験によく使われるハツカネズミさんの場合(マウスですが)、体重が軽いのでたとえ50グラムの太り目の個体だったとしてもたった15mg(0.015グラム)の二酸化塩素を食べると死ぬ確率が50%ということです。怖いですねぇ。。。安全性大丈夫かぇ・・・。

一滴の水滴はだいたい20マイクロリットルですので重さにして20mgです。つまりこの15mgの二酸化塩素というのは水滴一滴より軽いほどの微量なのです。そんな量でネズミさんは死にかけるのです。

しかし、難しいもので同じウィキペディアの記事内にこんな記載も見られます。

「2008年(平成20年)、強毒性H5N1型鳥インフルエンザの人型変異とそれに起因する世界的大流行(パンデミック)への懸念から、空間消毒薬として二酸化塩素ガスが注目され、日本の経済報道番組[3]でも紹介された。それ以後も日本のプロ野球団で使用されているとスポーツ紙で取り上げられる[4]などしている。しかし、二酸化塩素の安全性は経口摂取では確認されているものの、長期間低濃度雰囲気での暴露に係る安全性の検証(毒性試験)は不安定で反応性の高いガスである為か、世界的にみても十分とはいえない状況である。」

殺菌効果を期待して二酸化塩素のガスを噴霧して街中を殺菌しようというアイデアがあるのですね。しかし、鳥インフルエンザへの緊急対処とかの短期間ならまだしも用途を広げて長期間の暴露があった場合、健康被害がないのかについては疫学的な証拠が足りないという訳です。それはそうですよね。新しいアイデアでまだ十分に試されてないんで、確かなことは誰もわからない。当たり前です。

それはいいんですけど、さらっと経口摂取では安全だと書いてありません?えっ?飲んでも安全なの?

経口摂取の安全性が確認されていると書いてあるとはいえ、文献が示されていません。ウィキペディアで文献なしでは全く話になりません。

ではちょっと文献を漁ってみましょうか。ざっとPubmed検索するとLubbers et al (1982)という論文が見つかりました。

Controlled clinical evaluations of chlorine dioxide, chlorite and chlorate in man

これ、古いのにオープンアクセスで全文読めてしまうんですが、飲用水の消毒に使われる二酸化塩素や亜塩素酸塩そして塩素酸カリウムの毒性についてヒトの臨床試験をしています。一つの論文でPhase IからIIIに相当する試験をしていてPhase Iでは健康なボランティアの方に低い濃度からどんどん濃度を上げていって毒性、副作用について検査しています。Phase IIでは消毒に十分な濃度である5 mg/Lで12週間毎日摂取してもらって毒性をみています。Phase IIIではとくに酸化ストレスに対して健康被害が想定されるglucose-6-phosphate dehydrogenaseという酵素に疾患をもつ患者さんで同様に5 mg/Lで12週間毎日摂取してもらっています。結論としてはいづれのテストでも「There were no obvious undesirable clinical sequellae noted by any of the participating subjects or by the observing medical team」ということでとくに明確な副作用はボランティアしてもらった被験者やテストをした医師とそのチームからも観測されなかったということです。これは「Physiological impact was assessed by evaluation of a battery of qualitative and quantitative tests」とあることからも単なる印象ではなく血液検査などから各種の数字を比べた上で臨床試験として意義のある結果ということです。

つまり、飲用水の消毒に使われる程度の二酸化塩素の濃度であるならば健康被害はないという結論なのですね。Phase IIで5 mg/Lという濃度に設定したということはこの濃度で飲用水の消毒ができないと論文の意義がありません。そして、水道水の消毒など商業的に使わているような濃度では安全であるというのは驚くべきではありません(そうじゃないと困る!)。人間は60kgくらいあるので50gのハツカネズミとは違って毒性のある物質もある程度は堪えられるということでもありますし、二酸化塩素はそんなに毒性ないのかもしれませんし(後述) 、飲用水の場合、二酸化塩素が気化して抜けていくのが早いので浄水場から家庭に届くまでにほぼなくなっているように思います。

とはいえ、5 mg/Lという割と安全性が確認されている濃度でもMMSは体内のHIVウイルスやバクテリアそしてがん細胞に効果があるのでしょうか?ここが残念ながら単純にはいかないので、計算と推論が必要です。

それではジム・ハンブルさんのページから必要な濃度・容量を割り出してみましょう。ジム・ハンブルさんのページではまず前駆体であるMMS溶液をつくり、それに酸を混ぜて”activated MMS”を作る過程を説明していますが、いまいちどれだけ最終的に服用したらいい量なのかがわかりにくい文章ですね。そこでこちらの宗教ビデオを見るとMMS一滴とHCL一滴と説明していますね。言われてみると、ジム・ハンブルのページにも確かに「When using these two acids in these percentages always use 1 drop of acid to 1 drop of MMS」と書いています。わかりにくいなー、比率の話かと思ったわ。

先程の水一滴は20マイクロリットルの経験則を適用すると一回服用するときにはMMS一滴つまり20マイクロリットルでいいのですね。ここから濃度というか一回に何mgを飲む必要があるのかを算出します。

ジム・ハンブルのレシピから280gの亜塩素酸ナトリウムに780gの水でつくるけど亜塩素酸ナトリウム粉末は80%粉末なので、28%じゃなくって22.4%だという話だからこれは重量%ですね。するとMMSが100mlの時に122gの重さとあるので、亜塩素酸ナトリウムの重さは122の22.4%で27.328gになる。

濃度27.328 g / 100 mlのものを20マイクロリットルだから20/1000 mlで

27.328 g / 100 ml x (20 / 1000 ml) = 5.4656 mg

つまり5.5mgほどの亜塩素酸ナトリウムから作られる二酸化塩素を一回で飲む訳ですね。1 molのNaClO2から1 molのClO2が出来るのでモル重量をみると90.44g/molと67.45g/molだから重量はまあ約2/3になる訳ですね。計算すると約4mg/Lになります。つまりMMS一滴とHCL一滴とで作った活性化MMSを一リットルの水に薄めて飲んだとすると、先程の論文でみた5 mg/Lよりちょっと薄い位になりますね。

先程の論文では5 mg/Lの溶液を朝500ml、夜500mlに分けて二回飲んでもらっているので一日の摂取量としては5 mgで同じです。しかし、さっきのビデオでは活性化MMSを大体100ml程の水で薄めて飲んでいるので濃度としては十倍と言えなくもないです。まあ濃度より絶対量の方が大事ですので、それほど慎重になる必要はありませんが、直接は比較できなくなっていることだけは指摘しておきます。しかし、個人的には朝晩に分けていたのを一気に飲んだだけなので二倍の量を一気に摂取ということですが、Phase Iの部分で24mgを摂取している実験もしているので(つまり12mgを朝に飲む)、それを踏まえると大丈夫そうだなと思います。

まあ活性化MMSをジム・ハンブルの方法で飲んだこの方の体験談としては一回目のあとは下痢になったけど大丈夫だったとあります。あとこの方は最初の4日間は解毒作用が強烈で大変だったとも。

またジム・ハンブルのFAQにもあるように体内の悪玉バクテリアを一気に殺してしまうと、死んだバクテリアからもろもろの毒素が流れ出てくるので、それによって吐き気がしたり頭痛がしたりと色々と副作用が考えられるのです。なので初めの数回はもしかしたら作った活性化MMSは全部は飲まずに1/3だけ飲むとかから始める方が無難かもしれません。

私は漢方医から処方してもらったこと何度かあるんですが、漢方薬って苦いし飲んだら一日くらいはなんか気分悪くなったり下痢したりします。毒素が抜けるときとはそういうものですし、これは仕方がないですきっと。

健康なボランティアの人が5 mg程の二酸化塩素を12週間ほど毎日飲んでも大丈夫な訳ですから安全性はかなり信頼できそうで、殺菌作用についてはこれまた実用例に枚挙があるわけでこれも大丈夫となるとMMSってかなりいけそうなんじゃないの?と思える訳ですね。

 

作用機序について

さて、これは私もよくわからないんですが、一つ論文を紹介します。

上述したNoszticzius et al (2013)なんですが、論文タイトルが

Chlorine Dioxide Is a Size-Selective Antimicrobial Agent

とあります。バクテリアに効く薬だけど細胞の大きさに敏感なんだよということを言っているようです。アブスト読んでみると一文目から「ClO2, the so-called “ideal biocide”, could also be applied as an antiseptic if it was understood why the solution killing microbes rapidly does not cause any harm to humans or to animals」といきなり来ます(文章変だけど)。大丈夫かそんなにぶっちゃけて?と心配になります。PLOS BiolじゃなくってPLOS Oneとはいえ、割と権威ある雑誌で有名といえば有名な雑誌ですからね。

訳すと「二酸化塩素は理想的な細胞殺傷薬であり消毒薬でもあるけどなぜ人間の動物細胞や人間の健康には被害を与えないのかは謎である。」と言い切っているわけですよ。のっけから。えっ?そんな夢のある話を事実のように語っていいの?と心配になりますが、どうやらこの論文では怪我して擦りむいたところなどにつける消毒薬として扱っていますね。飲み薬ではないという認識でどちらかというと、塗った局部から体中に広がらない性質がないと消毒薬としてはよいとは言えないとか言っています。

他にはディスカッションに

ClO2 is a strong, but a rather selective oxidizer. Unlike other oxidants it does not react (or reacts extremely slowly) with most organic compounds of a living tissue.

とあって酸化剤ではあるけど二酸化塩素はなんでも酸化するわけではなく生き物の中にみられる殆どの有機化合物とは反応しないとあります。へー。でも

ClO2 reacts rather fast, however, with cysteine [22] and methionine [34] (two sulphur containing amino acids), with tyrosine [23] and tryptophan [24] (two aromatic amino acids) and with two inorganic ions: Fe2+ and Mn2+.

ともあって、主にタンパク質と反応するようですね。しかもシステイン、メチオニン、チロシン、トリプトファンが含まれているものと速く反応するようです。

実験としてはタンパク質の膜をつくって二酸化塩素がタンパク質と反応して酸化して膜に侵食したり、拡散してどっかいっちゃったりするの両方が起こるけど、侵食の様子を理論と実験とで検証してモデルつくってみたところ、サイズの小さいものはものすごく速く破壊できるけど、大きいものほど時間がかかることが判明(直径の二乗に比例)。

皮膚の擦り傷なのを消毒するような状況を考えると二酸化塩素が気化したり、汗で体から抜け出てしまう短い時間の間でどのくらいタンパク質を破壊できるのかという視点で見てみると、小さなタンパク質とかウイルス、小さな単細胞生物(バクテリアとか。1ミクロン程度)は二酸化塩素がよってたかって取り囲んで酸化して破壊してしまうけど、ある程度大きな細胞(動物細胞。十倍は大きい)やそれが細胞組織を形成した場合これを浸透するのに時間がかかり過ぎてしまいほぼ無害になると計算できてしまうという話。つまりバクテリアの細胞膜にしかないような特殊なタンパク質とかを選択的に認識して破壊しているのではなく、単純に体積の問題だと主張しているわけですね。

あと細胞レベルで考えるのでなく、細胞が集まった組織で考えると、一気に厚さが増えるので表面にある上皮細胞とかはリスク高いでしょうが、深いところにある細胞は割と安全なのかも。実験でも数分ではタンパク質の膜を50ミクロン以上は浸透しなかったようので、皮膚の擦り傷なのを消毒するような用途を考えると安全であると結論しています。

残る疑問点

しかし、疑問なのは

(1)バクテリアの直径が1ミクロンの球だと仮定すると2.9msであっさり殺すが、直径が大きくなると直径の二乗に比例して時間がかかるという。もし20ミクロンの直径の単細胞が浮遊しているなら、約1.2秒くらいという私の計算になるので、動物細胞(もし毛細血管から浸透するなら赤血球とか)もやっぱ死ぬんじゃないの?と思ってしまうこと。しかし、臨床試験の結果はなぜか安全!!なぜだ。

(2)あと、活性化MMSはがん細胞も選択的に殺す!とよく言われているんだけど、これもよくわからない。がん細胞は大きさも見た目も健康な細胞から素人だと全く見分けつかない。直径が大事だったんじゃ???となるのですね。

(1)については、動物細胞は酸化ストレスに強いから弱い酸化剤の二酸化塩素にアミノ酸が多少傷つけられても修復するメカニズムがあるから大丈夫だけどバクテリアは酸化ストレスによわよわなのですぐ死ぬということかもしれません。動物は進化の過程で危険な酸素を摂取して食べたものを代謝をしてエネルギーを得るというバクテリアから見たらまじかよというアクロバットをしている訳ですよね。人間の体に寄生しているようなのはまず嫌気性なはずです。ウィキペディアをみると大腸菌、サルモネラ、ビブリオ、ヘリコバクター(ピロリ)は全部嫌気性です。(追記:真菌のカンジタなどは好気性。)

構造が似ているといえば似ているブリーチ(NaClO)の場合は塩素化によってタンパク質を変性させて殺菌しますが、ClO2の場合はタンパク質を酸化することでウイルスやバクテリアを殺します。もともと酸化ストレスに強い動物細胞にとっては塩素化よりもしのぎやすいということはあるでしょうね。でも、これで十分説明できたのかは自信なし。

(2)については、がん細胞を直接攻撃しているとは思いにくいので、ジム・ハンブルが言っているように悪性の細菌を除去することによって免疫力が上がり、自然に免疫細胞によってがん細胞が 除去されると考えるのが一番良さそうです。しかし、ほんとに免疫力が上がっているのか?というデータはまだ見つけられていません。体験談としてはいくらでもあるのですが。

追記。Noteの「殺菌シリーズ」の方に書きましたが、銀座東京クリニックのブログにあるようにがん細胞が活性酸素種の発生を嫌って解糖系を使っていることに注目すると他の健康な細胞よりも酸化ストレスに弱いのだろうと考えられます。なので二酸化塩素の酸化ストレスががん細胞には直接の効果があり得るかもしれません。

おまけ

ちなみに先程の二酸化塩素ガスで街を消毒しようというのは割と危ない可能性がありますね。クレベリンの大幸製薬の実験だと0.1ppmで効果あるとしているから、濃度的に大丈夫だろうけども、このPLOS Oneの論文に肺の中でガス交換するalveolar membraneは1ミクロン程度と薄いしから影響が受けやすいことを指摘している。しかし血流が多いから薄まるのも速く影響が相殺される面もあるとも言っている。



inhaling high concentration ClO2 gases for an extended time can be dangerous for human health because the alveolar membrane is extremely thin (a mere 1-2 microns and in some places even below 1 micron). The effect of ClO2 in these membranes is somewhat counterbalanced, however, by the intense blood circulation there.

 

最後に宗教ビデオを貼っておきます。ここに書いたのは全部宗教の話ですからね。

 

2017年11月20日 (月)

老化はエピジェネティクスな影響が積り、スプライシングに影響を与えるのかも

Majapetric8287 Maja Petric

シネッセンス細胞のマイブームにより発見したMIT研究者Joshさんのブログ「Playing the game for a longer life」を眺めていると時間を忘れます。ネタの宝庫。

(シネッセンス細胞とはなんじゃという方はこちら:シネッセンス細胞がアツい。不老不死とハゲの治療が同時に可能か?

執筆時点で一番最新のエントリー(2017/11/09)ではレスベラトロール(Resveratrol)というこれまたフラボノイドの一種で、線虫・ハエ・魚・マウスでは摂取すると寿命を延ばす効果が認められている分子が、どうやって寿命を延ばすしているのかの仕組みについて調べた最新の論文について、ざっと書いてあるのだが、これがまた面白い。

このレスベラトロールの作用機序はsirtuinsという遺伝子の転写抑制因子を介していると考えられていたが、じつは少なくとも人の培養細胞系ではそうではなくスプライシング機構に作用し、テロメアを回復し、他のエピジェネティクスな因子を修復することでシネッセンス細胞を通常の健康な細胞に回復することを示したらしい。しかも人の培養細胞での結果なので基本的には人間でも同じ結果が出そう。

ウィキペディアにもあるとおり、臨床試験もある程度あって、ブドウの皮にもあるくらいなので割りと安全性は高そう。

マウスでも2006年にNatureに論文がでて、他の種と同様の効果があるとアブストラクトには書いてあるが、Joshさんはなぜかこの論文を指摘しつつ哺乳類ではたぶん効果がないとか言っているが、論文の本文さらっと読んでみると最後の方で人でも効果が期待できるという書き方をしているくらいので、ふーーむ、勘違いかな。

効果としても寿命を延ばす効果があり、抗がん作用、抗炎症作用などもろもろがあり、またもやフラボノイドだし、クェルセチンとかなり似ている感じだ。クェルセチンはシネッセンス細胞を殺すが、レスベラトロールは治す方向だが。しかし、緑茶だったり赤ワインだったりベタだなぁ。

レスベラトロールはアマゾンにもサプリメントとしてたくさんある。美容効果を謳っていたりするが、これは臨床試験で優位な差がちゃんと出ているので割りと本気で効果ありそう。

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2017年11月18日 (土)

シネッセンス細胞がアツい。不老不死とハゲの治療が同時に可能か?

最近natureにあったゾンビ細胞の記事を読んで以来、興味がわいたsenescence cellsという変わった細胞が面白い。私自身は木村拓哉似(相関係数0.12)の脳科学者なのでガンとかアポトーシスのあたりはあまりわからないので分野外から興味本位で調べてみたい。

シネッセンス細胞(老化細胞)とは

senescence cellsはJST科学技術用語日英対訳辞書では「老化細胞」とある。最近、話題に火がついた2016年の論文のネイチャー日本語版の解説記事「老化細胞を除去したマウスは長生き」でも老化細胞とあるのでこれでいいのかな。多分。senescence自体の意味が老化なので直訳だなぁ。でも個人的な好みでシネッセンス細胞と書きます。

シネッセンス細胞とは、体細胞がダメージくらったりテロメアがなくなってアポトーシス(細胞死)するはずが、なんかの拍子で死にそこねたゾンビ細胞みたいなものらしい。どうもがん細胞の増殖を抑えるための仕組みが働いて、分裂もしないがアポトーシスもしない状態になっている。しかも、いろいろ分泌してまわりに炎症を起こしたりするので厄介な存在。年をとると何にもしなくても体が痛かったりだるかったりするのはそういうことなのかな。ちなみにこの炎症はシネッセンス細胞からプロテアーゼとかサイトカインとかが分泌されて起こる局所的な炎症で2008年にsenescence-associated secretory phenotypeと命名され、研究者はSASPと呼ぶ。SASPはありまぁす!

もっと詳しく知りたい方向けに、その話題の論文の英文解説はこちら。そしてBaker et alの論文がこちら。(論文はネイチャーを購読してないと読めないと思いますが解説は読める。ほんとに読みたければSciHubがある。)

シネッセンス細胞の発見から人での臨床試験までの歴史

先程のネイチャーのゾンビ細胞の記事では、シネッセンス細胞自体はLeonard HayflickとPaul Moorheadが1961年に発見・命名しているので割りと長い間研究されてきたみたいだが、当時は「老化の細胞レベルのモデルはsenescence cellsだ」といってみても、時代を先取りしすぎて他の研究者には信じてもらえずHayflickはアホ呼ばわりされていたらしい。

ミネソタ州にあるthe Mayo Clinic in Rochesterという病院付属の研究所でBakerたちが2000年には老化現象が速く起こる老化のマウスモデルを偶然作成し、このマウスにはシネッセンス細胞が多い事が判明。このマウスモデルをつかってなんとかシネッセンス細胞だけを選択的に殺してしまえないか研究して2011年に成功。老化に伴う病気になりにくいことが判明。2016年には普通の年寄りマウスにアポトーシスを防いでいる経路をブロックするタンパク質を注射して、80%のシネッセンス細胞を殺すと寿命が伸びて、老いて毛が抜けた部分もフサフサになることが判明。製薬会社が飛びついて、もうすぐ臨床試験が3つほどアメリカで始まるところ。

これはすごいこと。普通ガンの薬や毛生え薬はネズミでは効くけど人間に試すとほとんどの場合効かないとなってしまい、多額の費用がかかる臨床試験はよほど見込みがないと始めないもの。シネッセンス細胞とがん細胞は紙一重の差に見えるからまあうまくいかない可能性が高い。しかし、うまくいくとこれはやばい。一攫千金。老化にともなる諸々の病気の抑制、寿命を延ばす、ハゲが治る、お肌の肌目がよくなるなとなと。社会的インパクトがものすごい。納税者の皆様。シネッセンス細胞の発見から56年。基礎研究は時間がかかるのです。でも画期的に新しいことが出てくるのも基礎研究からです。研究者は流動性が高いので優秀な人は研究環境が悪く、給料も低い日本からどんどんと逃げています。資源のない国としては自殺行為と思うので安倍政権というか文部科学省の文系出身の偉い方々は後生なのでどうにかしてください。私は帰りませんが。

健康食品・健康法を見直してみる

とは言え、臨床試験には数年かかるし、うまくいくとも限らない。そこで、なんかすでに安全性がわかっている体にいいとされているような食品とか、運動とか実はシネッセンス細胞を殺す効果があったりなんかしないかなぁ・・とおもっていたところ、最近はやっている朝ごはんを抜いてプチ断食する健康法が気になった。朝だけじゃなく、数日やるとショックで代謝に変化起こらないだろうか。そんな分裂もやめて、炎症を起こすような細胞を養っている場合じゃないから、シネッセンス細胞しねっ!ということにならないだろうか。

とおもって、ぐぐってみたところ似たようなことを考える人がいるようで「Is fasting senolytic?」なる記事を見つけた。要約すると、このJoshさんは、健康な細胞が保護され、ダメージがある細胞が死にやすい状態になる断食(fasting)をしながら、4日間の最後の2日にお茶にもよく含まれるフラボノイドであるquercetin ケルセチン(クェルセチン)というサプリメントを2.5g取ってシネッセンス細胞を除去の促進を狙ってみた模様です。

マウスではがんのケモセラピー中の断食は健康な細胞を保護を高め、さらにがん細胞には薬が効きやすくなるするという報告が2012年にサイエンス誌に掲載されているようです。クェルセチンはマウスではがん細胞やシネッセンス細胞の除去に効果が多少あり、食品中に多く含まれるので健康食品扱いで売っているので臨床試験を待たずに比較的安全に試せるということですね。断食中にクェルセチンを一時的に摂取して、断食で健康な細胞を保護+薬でシネッセンス細胞を除去と二重の効果を得ようという考え方の模様。

クェルセチンが健康に良いなら毎日取ったらいいじゃないかというと、そうでもない(かもしれない)ようで、マウスでは一時的に摂取するとシネッセンス細胞が減るが、続けて摂取すると逆効果かもしれないという報告もあるらしい。お茶を毎日がぶがぶ飲んでいるうちの母は元気だがそれは効果があって元気なのか、効果も副作用もないということか。(´・ω・`)ふーーむ。

アマゾンにも一件だけだがあるらしい。

Joshさんは文章から研究者っぽいなとおもったら、やはり生物系でagingを専門にした計算生物学屋さんですね。MITに籍があって独自に研究してるみたい。68歳ということでもうリタイアしたということかな。

まあ、臨床試験がおわるまではJoshさんみたいに独自にリスクを取って人柱するのは結構危険なのでやめたほうがいいです。2.5gは多い気がする。どうしてもやってみたい場合は自己責任でお願いします。

クェルセチンはフィンランドでの疫学調査で摂取量が多い人は肺がんのリスクが低いという結果もあるらしい。クェルセチン自体は食品に含まれるほどなので少量なら摂取しても問題はないはずだが、Joshさんのように一日で2.5グラム摂取とかして大丈夫なのかは不明。マウスの経口半数致死用量が160 mg/kgというから、体重500gのマウスが80mgペロっと食べたら死ぬ確率50%。単純に行くと体重50 kgのマウスなら8 g。人なら?お茶は重量で0.2%程度がクェルセチンなのでお茶っ葉を1 kg食べたら2 gか。

追記:調べてみました。一日1グラム程度なら大丈夫そう。2.5グラムはまあ思ったより危険ではなさそうだ。

でも断食中にお茶を飲むくらいなら、健康な人が気をつけてやれば、大丈夫でしょうし、なんか禅の修行っぽい。もしかしたらシネッセンス細胞の除去に多少効果があるかもしれません。断食は2日目にぐっと辛さがくるようなので、そこは乗り越えたほうが効果ありそう。Joshさんも4日やってますし。

気になる結果は?

Joshさんの結果が気になりますが、効果を確かめるのは難しいでしょう。ハゲだったのが治ったくらいの変化があれば簡単ですが、時間がかかるでしょう。

Joshさんの断食+クェルセチンの最初の記事は4月。次にquercetinについて報告があるのは10月

Results: Difficult to say with any certainty, but I did feel an ease and speed in swimming after I began re-feeding, and perhaps an easing of chronic stiffness in my low back.

ということで、「なんとも言えない」。そうです。水泳が速くなって腰のハリが緩和された気がするそうですが。 まあ、効果がなにかしらあるとしても体感しづらいことはありえますので、仕方がないですね。なんにしても、Joshさんに副作用がとくになさそうなのがよかったです。しかし、薬の副作用には個人差があるので繰り返しますが、Joshさんの真似はしないほうがいいですよ。

Joshさんのブログは他にも面白い記事が多いので注目していきます。

では、最後に最近お気に入りのユーチューブチャネル「Kurzgesagt」での老化研究最新事情の回。シネッセンス細胞の解説からはじまってNAD+の話、Stem cells幹細胞の話と続く。

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2017年9月 8日 (金)

古めの論文でテキスト選択がおかしい時の対処法

Multicolumn

例えば、Acrobatを使っているときに、テキスト選択ツールで、左のカラムを文章をコピーしたい。一行しか選択しないのなら問題はないが、複数のラインになるとまれに、右のカラムにまで選択範囲が行ってしまって、そっちじゃねーよとなる。

古めの論文にありがちですね。上のイメージは2005年のNeuron。

これは、古めの論文だとPDFに文章の構造を指定するタグをちゃんと埋め込んでいないため、PDFリーダーが賢くないとカラムの構造の類推に失敗することから起こる問題のようです。というかAcrobatでもダメなのでタグが無いようなPDFは出版社が悪いと思う。

ウィンドウズの場合は、PDF-XChange Editorだったら下の様に簡単にボックス選択できるのでなんとかなる。PDF-XChange Editorはフリーで、互換性まったく問題なし、本家Acrobatより速いのでおすすめです。

Pdf_xchange

Macな方の場合、PDF-XChangeがないのでAcrobatを使うしかないのが問題でしたが、最近Acrobat Proならばタグを自動で埋め込むことで大部分解決することを発見。たまにPDFからテキストをコピペするとスペースが抜けている場合がありますが、これもタグを削除して、自動生成し直すと治る。

やり方は「既存の PDF へのタグの追加」を参考に、ツールからアクセシビリティを選んで、文書にタグを追加を選択する。そうすると文章の構造を適当に認識してタグを追加してくれる。これで、大抵は治る。Acrobat Proじゃないといけないのが残念。

タグを直したほうが、ボックス選択よりも文章の選択が細かにできるので、Proのライセンスあるのならタグを追加するのが一番よい。PDF-XChange Editorでタグの編集とか追加はちょっと試したが、できなそうかな。。

なぜアクセシビリティにそんな機能があるのかというと、文章の読み上げ機能にカラムの構造の正しい認識が必要なため。

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2017年8月 1日 (火)

Juliaやってみよう。五日目。Pythonと速度比較。

def test():

    Ne=800;                 Ni=200;
    re=rand(Ne,1);          ri=rand(Ni,1);
    a=vstack([0.02*ones((Ne,1)), 0.02+0.08*ri]);
    b=vstack([0.2*ones((Ne,1)),  0.25-0.05*ri]);
    c=vstack([-65+15*re**2,  -65*ones((Ni,1))]);
    d=vstack([8-6*re**2,       2*ones((Ni,1))]);
    S=hstack([0.5*rand(Ne+Ni,Ne), -rand(Ne+Ni,Ni)]);
    v=-65*ones((Ne+Ni,1));    # Initial values of v
    u=b*v;                 # Initial values of u
    firings=[];             # spike timings
    for t in range(1000):            # simulation of 1000 ms

        I=vstack([5*randn(Ne,1), 2*randn(Ni,1)]); # thalamic input
        fired=find(v>=30);    # indices of spikes
        if fired.any():

            if firings == []:
                firings=vstack([t+0*fired,fired]).T
            else:
                firings=vstack([firings, vstack([t+0*fired,fired]).T]);

            v[fired]=c[fired];
            u[fired]=u[fired]+d[fired];
            I=I+sum(S[:,fired],1).reshape(-1,1);

        v=v+0.5*(0.04*v**2+5*v+140-u+I); # step 0.5 ms
        v=v+0.5*(0.04*v**2+5*v+140-u+I); # for numerical
        u=u+a*(b*v-u);                 # stability

全快の記事では、Izhikevichモデルを1000 msほどシミュレーションした時のjuliaの実行時間は785 msでした。

速度比較のため、上記のようなnumpyバージョンを作ってみたところ、253 msでした。

Python版ではfiredを調べて空だったらシナプス入力の計算を端折るようにしたので、そのせいで速い可能性もあるので、juliaも同様に

if length(fired) > 0

という風にチェックを入れたら625 msまで速くなった。それでもPythonが三倍くらい速いとかあり得ない。なにかおかしい。

もしかしたらjuliaのJITが温まる前なのかな。ループを長くしたら逆転するかも。PypyのJITが温まるまで4秒くらいとか聞いた気がするので、シミュレーションを1000 msから30000 msにしてみる。

Python2   23.4 s
julia    34.48 s

結果、差はだいぶ縮まったが、それでもPythonがちょっと速い。これならJITのあるjuliaが有利な条件だと思うけども。ふーーむ。juliaの偉い人が颯爽とアドバイスくれたりないかなぁ・・。

まあKyle Barbary氏の2014年のブログ記事の信憑性がましてしまった。

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2017年7月12日 (水)

Juliaやってみよう。一日目。GRでプロット。

色々と気になっていたJuliaで遊んでみようのコーナーを思いつきで始めます。

普段はウィンドウズでPython使っているのでウィンドウズ、Pythonユーザー向けに書きます。

まずはなんかPlotしてみたいかな。

まずはJuliaのインストール

右も左も分からないので、まあOfficialからバイナリもってきて遊んでみよう。

https://julialang.org/downloads/

から最新版のウィンドウズ用exeインストーラーを落とせばよいのでしょう。今時は普通は64ビットですね。 執筆時点ではもう0.6リリースなってますね。私は手元に0.5があったので、今日はそのまま使います。

ライブラリのインストール

さて、JuliaにもPlotライブラリが色々とあるようです。どれにしようかな。

plot.lyのJulia版もあるようですが、JSON書くのいやなので、パス。

公式サイトのhttps://julialang.org/downloads/plotting.html

では、PyPlotというそのままな名前のライブラリでmatplotlibをJuliaから呼び出しちゃうという恐ろしいものがあった。うーむ、JupyterがIPython Notebookの時代にそんなデモをみたような。これはPythonを呼びに行っているのでPythonも必須。

せっかくなのでJuliaネイティブなライブラリを試したいので全部C/C+で書いてあるというGRというPlotライブラリを試すことにした。これPythonはもちろん、PyPyでも使えるらしいうえに、matplotlibのバックエンドとしてもつかえて30倍くらい線の描画が速いらしい。すごい。。。

JuliaにはPkgという多分標準ライブラリだと思うけど、パッケージマネージャーがあって、登録されているライブラリはPkg.add()で簡単に導入できるらしい。すごい。PythonもCondaで似たようなことができるけど、Juliaの方が進んでいる。

まずはPkg.status()で、導入されているライブラリを表示してみる。

Juliapkgstatus

ふむ。

それでは、Pkg.add("GR")でGRを導入。

Juliapkgadd

INFO: METADATA is out-of-date — you may not have the latest version of GR INFO: Use `Pkg.update()` to get the latest versions of your packages

へ?METADATAが古い?なんの?Pkg.update()すればいいの?

Juliapkgupdate

おお、PackageマネージャーのMETADATAが古いのですな。最新のGRは0.22.0になっているようです。

なんか裏で色々とcondaが暗躍している模様だが、Pkgの実装はピュアJuliaではないのだろうか。なぞ。

さて、Pkg.installed()としてみると、Pkg.update()がすでに全部アップデートしたようで、GRもバージョンが0.22.0になっている。楽じゃ!condaみたい。

GRで初めてのプロット

Pythonでいうimport分はusingらしいが、importというのもある。違いは調べてもよくわからないが、まあ追々でいいか。GRの公式サイトでもusingだったりimportだったりで、まあどっちでもいいようだ。

あとはPythonのようにplot([0,1,4],[3,2,5])のようにするだけでいいのだそうです。

using GR
plot([0,1,4],[3,2,5])

えい。

でた。

これって、plotはGR.plotと同じだと思うのでusingでもってくるとネームスペースのトップにエイリアスがくるっぽい。

タイトルを追加してみる。今度はGRから始まるネームスペースでやってみる。

GR.title("Yattsuke blog playing with Julia")

シーン・・・。何も起きない。PyPlotならshow()とかdraw()の場面だが、show()だとプロットが死んだ。drawはない。

GRの公式サイトの例だと

GR.updatews()

が正解っぽいが、何も起きない。さて・・・。

plotもう一回すると更新されるが、ドキュメンテーションみてもやっぱりupdatewsで正解っぽいなあ。。

うむ。まあ今回はこの程度で、つぎはIJulia使ってみるメウ。

Juliagrplot

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2016年10月 5日 (水)

VirtualBox上のSAS University EditionサーバーにLAN経由でアクセス

昨日書いた記事で、SAS University EditionがサポートしているJupyter notebookサーバーをlocalhostからアクセスしてみました。

どうせなら、デスクトップでサーバーを走らせておいて、LAN経由でノートパソコンでアクセスできたらいいなぁとおもいやってみました。

試行錯誤しましたが、ブリッジモードにして、ポートフォワーディングをしてやればOKのようです。

Sas_bridge

ウィンドウズでVirtualBox Host-Only NetworkとPCの接続アダプター(Local Area ConnectionかWifi)を両方選択して、右クリックすると「ブリッジモードに追加」できます。ブリッジモードにするとNetwork Bridgeのアダプター用に新しいIPが振り分けられるので注意。

その後、

Sas_over_lan

ipconfigでLANのIPv4アドレスをしらべて、VirtualBoxのネットワークアダプター1をNATにしてポートフォワーディングをしてやります。

ぐぐるとHost-only adapterをつかえだの、Bridged adapterをつかえだのばかりあるのですが、私の場合NATで大丈夫でした。NATでもポートフォワーディングするまでだめだったし、ウィンドウズの方で設定したブリッジも外すとダメなので両方とも大事のようです。

同様にSAS Studioも10080をポートフォワーディングしてできるはずですね。

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2016年10月 4日 (火)

SAS University EditionでJupyter Notebookしてみる。

昔は大学の研究室でも大金をはたかないと使えなかったSASが、今はSAS University Editionがあって、個人用なら基本部分はタダで使える時代になりました。RとかPythonとかがあるので、時代の流れですね。基本部分しかないのでオラクルとかのdbを直接アクセスとかはできませんが、データがcsvに変換できるならなんでも取ってこれるので、まあ結構使えます。

オフィシャルのアナウンスによると、SAS University Editionは2016年の7月以降のバージョンからはJupyter notebookがついてくるらしいですね。

普通は http://localhost:10080 としてSAS Studioに行きますが、jupyterのサーバーがポート8888を使っているので http://localhost:8888 でアクセスできるはずなんですが、ウィンドウズのVirtualBox上でSAS University Editionのサーバーを走らせるとなんかダメだった。

VirtualBoxのNATのネットワークドライバーのSettingを確認してみるとポートフォワーディングにHTTPとHTTPSしかないのが原因っぽいので追加してみる。

Sasunivnat

Sasportforwarding

一応自分でJupyterのサーバーを使ってPythonでなんかする可能性を考えると18888を8888へ送った方が良いかなと思ったのでそうしてみた。

Sasonjupyter

動いた!

別に特別なことはせずとも、SAS University Editionのサーバーが走っていればJupyterのサーバーもすでに走っているようだ。でもつかってみるとSASってログが冗長だしJupyterにはあんまり向いていない気がする。optionsでログ簡潔にすればいいのかな。

options nosource nonotes;

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2015年10月28日 (水)

約80~70%の眠っている毛穴を活性化する薬が本物かもしれない件

Dailymailの記事Have scientists cured baldness? New drug reveals regrowth in mice in ten DAYSが詳しいですが、本日 Science Advancesという雑誌に発表されたコロンビア大学の研究によって、まったく新しい育毛剤が開発される可能性が出てきました。

人間の毛穴の大部分(約80~70%)は一度毛が抜け落ちると休眠期に入ってしまい、しばらく新しい毛を作らない状態になるのだそうです。

その眠っている毛穴をなんとか活性化してやればフサフサになるのも夢ではないかもしれないのですが、いままでそんな都合のいい薬はないわけです。

今回の発見ではアメリカのFDAが別の病気用にすでに認可している2つの薬(ルソリチニブとトファシチニブ)が、実は毛穴を活性化する効果を持っていたということで、人間に使っても安全であることが確認されているので、毛生え薬としての許可もかなり期待できます。どちらの薬も円形脱毛症の原因となる自己免疫疾患の薬としていままさに臨床試験をしている途中らしいです。FDAの認可も遠くないように見えます。

ルソリチニブ ruxolitinib(Incyteとノバルティス ファーマ)という薬は血液の病気に使われて、トファシチニブ tofacitinib(ファイザー製薬)という薬はリューマチ性関節炎に効く薬だそうです。これを経口投与(カプセルとか)や点滴で投与してもハゲには効果はないのですが、皮膚に塗るとネズミの実験では10日間で毛が生えてくるのだそうです。

とはいっても人間の皮膚・毛穴はネズミとはだいぶ違いがあるようで、色々な薬が開発されてネズミの動物実験で効果が確認されても人間では効果がないという結果が今までにも山程ありました。

なので、今回もそんなところだろうと思ったらすでに人間の皮膚の培養細胞で効果を確認しているらしいです。これはほんとに画期的で、いよいよまったく新しい育毛剤が登場するかもという期待が高まります。

ノバルティスの株価の反応を見てみるとマーケットは冷ややかですが、インサイトファイザーの方は上がってますね。

昔も「朗報。髪の毛は培養して増やして植え戻す時代が近い?」という記事にちょっと書きましたが、今までの育毛は「毛包から毛が抜けにくくする」か、「すでにある毛の成長を促す」かという消極的な方法しかありませんでした。

例えば、資生堂 アデノバイタルスカルプエッセンスV(下) はアデノシンを補給して、毛の成長を助ける栄養を与えているわけです。

でも、もっと直観的に毛を生やすというのは難しいのです。今回の発見で、眠っている毛穴を起こしてしまうというのは、自然な方法で副作用が少なさそうなうえに、非常に直接的な手段なので、非常に高い効果が期待できます。

今回論文が掲載されたScience Advancesという雑誌ですが、聞いたことがなかったのですが、あのネイチャー誌と並ぶ二大ジャーナルであるサイエンス誌を出版しているところの姉妹誌のようです。まだVol. 1 No. 9ということですのでかなり新しいです。コロンビア大の研究ですし、雑誌もまともなところなので、ちゃんとした研究ですね。

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2015年7月28日 (火)

第6の味覚って本当? 米パデュー大の脂肪の味に反論してみる。

800pxflickr__cyclonebill__bacon_11 Photo by cyclonebill

ねとらぼで記事になっている「第6の味覚は「脂味」 米パデュー大の研究チームが発見」という記事について、コメントしてみます。

ねとらぼの記事によくまとまっていますが、この論文では今のところの定説である甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味に加えて新たにOleogustusという脂肪の味?というのを提唱しています。これ自体はいろいろな研究者が主張しているのでいつの日か脂肪の味は基本味として認められるかもしれませんが、まだ誰もちゃんとした証拠をつかんでいないわけです。

かなりボールドな、大胆な主張ですので、これが本当であればもっとインパクトの高いNature誌とか、Science誌に掲載されてもしかるべきな研究成果なのですが、この論文が受理されたのは味覚や嗅覚の専門誌のChemical Sensesですので、読者はガチガチのその分野の専門家だけになります。まあNatureとかは投稿してもダメだったんでしょうね。

Chemical Sensesはこの分野の専門誌なので、レビューもまともな人がやるので悪い雑誌じゃないです。ヘタするとNatureよりもまともな査読になります。なので、一応行った実験の手順やデータはオーケーなんでしょうけど、Chemical Sensesにしては珍しく、この論文は結論がちょっと飛躍している印象があります。

まだPDFがダウンロードできなくって、Abstractプレスリリースしか読んでないのですが、この論文では心理学的な手法でボランティアの学生さんとか少額の謝礼を払って参加してもらった外部の人に被験者になってもらって、いろいろな味の液体を味わってもらってグループ分けしてもらうという手法がメインであるため、彼らの大胆な主張を十分に裏付けるには、かなり弱いです。もちろん液体の色とかにおいとかで差がでないようにいろいろと工夫をして、味だけで違いがわかるかを測るように注意して行われているので、人がnonesterified fatty acidsを他の味と区別できるということについてはまあ間違いないと思うんです。

ただ、それで世間が納得するかというとそうは行かないとおもいます。例えばリンゴも色々と味に違いがありますが、基本味の比率の違いや、食感の違いなどなどの組み合わせで味覚の認識が違うのは当たり前なので、「区別できる=基本味である」とはならないとおもいます。

Abstractやプレスリリースで触れていますが、被験者は”脂肪の味”になれていないので、はじめは”苦味”として認識してしまうといっています。そこで、旨味と苦味と”脂肪の味”の3つを区別するように頼んでみたらちゃんとできたよって内容です。

カプサイシン

砂糖と10倍濃度の砂糖を区別してもらって、区別できたらば基本味を増やさないと行けないのでしょうか?と考えると論理の飛躍というか無茶加減が分かって頂けると思います。(カプサイシンは痛覚でした)

本当にこの結論を受け入れてもらおうと思ったら、nonesterified fatty acidsに対応する味覚受容体細胞とか受容体タンパク質を同定するとか、色々すべきことがあります。

追記。スラドの書き込みで、京大農学部の伏木先生らのグループがCD36というfatty acidsに特異的な”受容体”をすでに同定しているらしいです。少なくとも2007の話らしいので、後出しでOleogustusとか命名までしちゃって図々しいなぁと思いますが、これが定着したらやったもの勝ちなのも事実。うまくやったなぁ。

CD36は脂肪酸以外にもいろいろコラーゲンとか受容する見たいだし、舌だけじゃなく鼻にもあったりするので基本味として認められるまでの道のりはまだ掛かりそう。

以前、第六の味覚:「カルシウムっぽい」発見かというのも話題になったりで、基本味が5つというのは揺れているのは間違いないです。

いま苦味として知られているものはものすごく沢山の化学物質が含まれるので、これを全部一緒にして、ひとつの”苦味”でいいのかというのは議論のあるところですし、旨味のグルタミン酸もはじめは苦味の一種だろうと考えられていたわけなので、基本味が5つのままでいつまで行くかについては個人的にはかなり疑問に思っています。彼らも脂肪の味が基本味であるという主張をしているようです。

ただし、そうするとどこで線を引いたらいいのか?となってきて、難しい話になります。なので、時間はかかるのかなと思います。

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