カテゴリー「学問・資格」の46件の記事

2017年9月 8日 (金)

古めの論文でテキスト選択がおかしい時の対処法

Multicolumn

例えば、Acrobatを使っているときに、テキスト選択ツールで、左のカラムを文章をコピーしたい。一行しか選択しないのなら問題はないが、複数のラインになるとまれに、右のカラムにまで選択範囲が行ってしまって、そっちじゃねーよとなる。

古めの論文にありがちですね。上のイメージは2005年のNeuron。

これは、古めの論文だとPDFに文章の構造を指定するタグをちゃんと埋め込んでいないため、PDFリーダーが賢くないとカラムの構造の類推に失敗することから起こる問題のようです。というかAcrobatでもダメなのでタグが無いようなPDFは出版社が悪いと思う。

ウィンドウズの場合は、PDF-XChange Editorだったら下の様に簡単にボックス選択できるのでなんとかなる。PDF-XChange Editorはフリーで、互換性まったく問題なし、本家Acrobatより速いのでおすすめです。

Pdf_xchange

Macな方の場合、PDF-XChangeがないのでAcrobatを使うしかないのが問題でしたが、最近Acrobat Proならばタグを自動で埋め込むことで大部分解決することを発見。たまにPDFからテキストをコピペするとスペースが抜けている場合がありますが、これもタグを削除して、自動生成し直すと治る。

やり方は「既存の PDF へのタグの追加」を参考に、ツールからアクセシビリティを選んで、文書にタグを追加を選択する。そうすると文章の構造を適当に認識してタグを追加してくれる。これで、大抵は治る。Acrobat Proじゃないといけないのが残念。

タグを直したほうが、ボックス選択よりも文章の選択が細かにできるので、Proのライセンスあるのならタグを追加するのが一番よい。PDF-XChange Editorでタグの編集とか追加はちょっと試したが、できなそうかな。。

なぜアクセシビリティにそんな機能があるのかというと、文章の読み上げ機能にカラムの構造の正しい認識が必要なため。

2017年8月 1日 (火)

Juliaやってみよう。五日目。Pythonと速度比較。

def test():

    Ne=800;                 Ni=200;
    re=rand(Ne,1);          ri=rand(Ni,1);
    a=vstack([0.02*ones((Ne,1)), 0.02+0.08*ri]);
    b=vstack([0.2*ones((Ne,1)),  0.25-0.05*ri]);
    c=vstack([-65+15*re**2,  -65*ones((Ni,1))]);
    d=vstack([8-6*re**2,       2*ones((Ni,1))]);
    S=hstack([0.5*rand(Ne+Ni,Ne), -rand(Ne+Ni,Ni)]);
    v=-65*ones((Ne+Ni,1));    # Initial values of v
    u=b*v;                 # Initial values of u
    firings=[];             # spike timings
    for t in range(1000):            # simulation of 1000 ms

        I=vstack([5*randn(Ne,1), 2*randn(Ni,1)]); # thalamic input
        fired=find(v>=30);    # indices of spikes
        if fired.any():

            if firings == []:
                firings=vstack([t+0*fired,fired]).T
            else:
                firings=vstack([firings, vstack([t+0*fired,fired]).T]);

            v[fired]=c[fired];
            u[fired]=u[fired]+d[fired];
            I=I+sum(S[:,fired],1).reshape(-1,1);

        v=v+0.5*(0.04*v**2+5*v+140-u+I); # step 0.5 ms
        v=v+0.5*(0.04*v**2+5*v+140-u+I); # for numerical
        u=u+a*(b*v-u);                 # stability

全快の記事では、Izhikevichモデルを1000 msほどシミュレーションした時のjuliaの実行時間は785 msでした。

速度比較のため、上記のようなnumpyバージョンを作ってみたところ、253 msでした。

Python版ではfiredを調べて空だったらシナプス入力の計算を端折るようにしたので、そのせいで速い可能性もあるので、juliaも同様に

if length(fired) > 0

という風にチェックを入れたら625 msまで速くなった。それでもPythonが三倍くらい速いとかあり得ない。なにかおかしい。

もしかしたらjuliaのJITが温まる前なのかな。ループを長くしたら逆転するかも。PypyのJITが温まるまで4秒くらいとか聞いた気がするので、シミュレーションを1000 msから30000 msにしてみる。

Python2   23.4 s
julia    34.48 s

結果、差はだいぶ縮まったが、それでもPythonがちょっと速い。これならJITのあるjuliaが有利な条件だと思うけども。ふーーむ。juliaの偉い人が颯爽とアドバイスくれたりないかなぁ・・。

まあKyle Barbary氏の2014年のブログ記事の信憑性がましてしまった。

2017年7月12日 (水)

Juliaやってみよう。一日目。GRでプロット。

色々と気になっていたJuliaで遊んでみようのコーナーを思いつきで始めます。

普段はウィンドウズでPython使っているのでウィンドウズ、Pythonユーザー向けに書きます。

まずはなんかPlotしてみたいかな。

まずはJuliaのインストール

右も左も分からないので、まあOfficialからバイナリもってきて遊んでみよう。

https://julialang.org/downloads/

から最新版のウィンドウズ用exeインストーラーを落とせばよいのでしょう。今時は普通は64ビットですね。 執筆時点ではもう0.6リリースなってますね。私は手元に0.5があったので、今日はそのまま使います。

ライブラリのインストール

さて、JuliaにもPlotライブラリが色々とあるようです。どれにしようかな。

plot.lyのJulia版もあるようですが、JSON書くのいやなので、パス。

公式サイトのhttps://julialang.org/downloads/plotting.html

では、PyPlotというそのままな名前のライブラリでmatplotlibをJuliaから呼び出しちゃうという恐ろしいものがあった。うーむ、JupyterがIPython Notebookの時代にそんなデモをみたような。これはPythonを呼びに行っているのでPythonも必須。

せっかくなのでJuliaネイティブなライブラリを試したいので全部C/C+で書いてあるというGRというPlotライブラリを試すことにした。これPythonはもちろん、PyPyでも使えるらしいうえに、matplotlibのバックエンドとしてもつかえて30倍くらい線の描画が速いらしい。すごい。。。

JuliaにはPkgという多分標準ライブラリだと思うけど、パッケージマネージャーがあって、登録されているライブラリはPkg.add()で簡単に導入できるらしい。すごい。PythonもCondaで似たようなことができるけど、Juliaの方が進んでいる。

まずはPkg.status()で、導入されているライブラリを表示してみる。

Juliapkgstatus

ふむ。

それでは、Pkg.add("GR")でGRを導入。

Juliapkgadd

INFO: METADATA is out-of-date — you may not have the latest version of GR INFO: Use `Pkg.update()` to get the latest versions of your packages

へ?METADATAが古い?なんの?Pkg.update()すればいいの?

Juliapkgupdate

おお、PackageマネージャーのMETADATAが古いのですな。最新のGRは0.22.0になっているようです。

なんか裏で色々とcondaが暗躍している模様だが、Pkgの実装はピュアJuliaではないのだろうか。なぞ。

さて、Pkg.installed()としてみると、Pkg.update()がすでに全部アップデートしたようで、GRもバージョンが0.22.0になっている。楽じゃ!condaみたい。

GRで初めてのプロット

Pythonでいうimport分はusingらしいが、importというのもある。違いは調べてもよくわからないが、まあ追々でいいか。GRの公式サイトでもusingだったりimportだったりで、まあどっちでもいいようだ。

あとはPythonのようにplot([0,1,4],[3,2,5])のようにするだけでいいのだそうです。

using GR
plot([0,1,4],[3,2,5])

えい。

でた。

これって、plotはGR.plotと同じだと思うのでusingでもってくるとネームスペースのトップにエイリアスがくるっぽい。

タイトルを追加してみる。今度はGRから始まるネームスペースでやってみる。

GR.title("Yattsuke blog playing with Julia")

シーン・・・。何も起きない。PyPlotならshow()とかdraw()の場面だが、show()だとプロットが死んだ。drawはない。

GRの公式サイトの例だと

GR.updatews()

が正解っぽいが、何も起きない。さて・・・。

plotもう一回すると更新されるが、ドキュメンテーションみてもやっぱりupdatewsで正解っぽいなあ。。

うむ。まあ今回はこの程度で、つぎはIJulia使ってみるメウ。

Juliagrplot

2016年10月 5日 (水)

VirtualBox上のSAS University EditionサーバーにLAN経由でアクセス

昨日書いた記事で、SAS University EditionがサポートしているJupyter notebookサーバーをlocalhostからアクセスしてみました。

どうせなら、デスクトップでサーバーを走らせておいて、LAN経由でノートパソコンでアクセスできたらいいなぁとおもいやってみました。

試行錯誤しましたが、ブリッジモードにして、ポートフォワーディングをしてやればOKのようです。

Sas_bridge

ウィンドウズでVirtualBox Host-Only NetworkとPCの接続アダプター(Local Area ConnectionかWifi)を両方選択して、右クリックすると「ブリッジモードに追加」できます。ブリッジモードにするとNetwork Bridgeのアダプター用に新しいIPが振り分けられるので注意。

その後、

Sas_over_lan

ipconfigでLANのIPv4アドレスをしらべて、VirtualBoxのネットワークアダプター1をNATにしてポートフォワーディングをしてやります。

ぐぐるとHost-only adapterをつかえだの、Bridged adapterをつかえだのばかりあるのですが、私の場合NATで大丈夫でした。NATでもポートフォワーディングするまでだめだったし、ウィンドウズの方で設定したブリッジも外すとダメなので両方とも大事のようです。

同様にSAS Studioも10080をポートフォワーディングしてできるはずですね。

2016年10月 4日 (火)

SAS University EditionでJupyter Notebookしてみる。

昔は大学の研究室でも大金をはたかないと使えなかったSASが、今はSAS University Editionがあって、個人用なら基本部分はタダで使える時代になりました。RとかPythonとかがあるので、時代の流れですね。基本部分しかないのでオラクルとかのdbを直接アクセスとかはできませんが、データがcsvに変換できるならなんでも取ってこれるので、まあ結構使えます。

オフィシャルのアナウンスによると、SAS University Editionは2016年の7月以降のバージョンからはJupyter notebookがついてくるらしいですね。

普通は http://localhost:10080 としてSAS Studioに行きますが、jupyterのサーバーがポート8888を使っているので http://localhost:8888 でアクセスできるはずなんですが、ウィンドウズのVirtualBox上でSAS University Editionのサーバーを走らせるとなんかダメだった。

VirtualBoxのNATのネットワークドライバーのSettingを確認してみるとポートフォワーディングにHTTPとHTTPSしかないのが原因っぽいので追加してみる。

Sasunivnat

Sasportforwarding

一応自分でJupyterのサーバーを使ってPythonでなんかする可能性を考えると18888を8888へ送った方が良いかなと思ったのでそうしてみた。

Sasonjupyter

動いた!

別に特別なことはせずとも、SAS University Editionのサーバーが走っていればJupyterのサーバーもすでに走っているようだ。でもつかってみるとSASってログが冗長だしJupyterにはあんまり向いていない気がする。optionsでログ簡潔にすればいいのかな。

options nosource nonotes;

2015年10月28日 (水)

約80~70%の眠っている毛穴を活性化する薬が本物かもしれない件

Dailymailの記事Have scientists cured baldness? New drug reveals regrowth in mice in ten DAYSが詳しいですが、本日 Science Advancesという雑誌に発表されたコロンビア大学の研究によって、まったく新しい育毛剤が開発される可能性が出てきました。

人間の毛穴の大部分(約80~70%)は一度毛が抜け落ちると休眠期に入ってしまい、しばらく新しい毛を作らない状態になるのだそうです。

その眠っている毛穴をなんとか活性化してやればフサフサになるのも夢ではないかもしれないのですが、いままでそんな都合のいい薬はないわけです。

今回の発見ではアメリカのFDAが別の病気用にすでに認可している2つの薬(ルソリチニブとトファシチニブ)が、実は毛穴を活性化する効果を持っていたということで、人間に使っても安全であることが確認されているので、毛生え薬としての許可もかなり期待できます。どちらの薬も円形脱毛症の原因となる自己免疫疾患の薬としていままさに臨床試験をしている途中らしいです。FDAの認可も遠くないように見えます。

ルソリチニブ ruxolitinib(Incyteとノバルティス ファーマ)という薬は血液の病気に使われて、トファシチニブ tofacitinib(ファイザー製薬)という薬はリューマチ性関節炎に効く薬だそうです。これを経口投与(カプセルとか)や点滴で投与してもハゲには効果はないのですが、皮膚に塗るとネズミの実験では10日間で毛が生えてくるのだそうです。

とはいっても人間の皮膚・毛穴はネズミとはだいぶ違いがあるようで、色々な薬が開発されてネズミの動物実験で効果が確認されても人間では効果がないという結果が今までにも山程ありました。

なので、今回もそんなところだろうと思ったらすでに人間の皮膚の培養細胞で効果を確認しているらしいです。これはほんとに画期的で、いよいよまったく新しい育毛剤が登場するかもという期待が高まります。

ノバルティスの株価の反応を見てみるとマーケットは冷ややかですが、インサイトファイザーの方は上がってますね。

昔も「朗報。髪の毛は培養して増やして植え戻す時代が近い?」という記事にちょっと書きましたが、今までの育毛は「毛包から毛が抜けにくくする」か、「すでにある毛の成長を促す」かという消極的な方法しかありませんでした。

例えば、資生堂 アデノバイタルスカルプエッセンスV(下) はアデノシンを補給して、毛の成長を助ける栄養を与えているわけです。

でも、もっと直観的に毛を生やすというのは難しいのです。今回の発見で、眠っている毛穴を起こしてしまうというのは、自然な方法で副作用が少なさそうなうえに、非常に直接的な手段なので、非常に高い効果が期待できます。

今回論文が掲載されたScience Advancesという雑誌ですが、聞いたことがなかったのですが、あのネイチャー誌と並ぶ二大ジャーナルであるサイエンス誌を出版しているところの姉妹誌のようです。まだVol. 1 No. 9ということですのでかなり新しいです。コロンビア大の研究ですし、雑誌もまともなところなので、ちゃんとした研究ですね。

2015年7月28日 (火)

第6の味覚って本当? 米パデュー大の脂肪の味に反論してみる。

800pxflickr__cyclonebill__bacon_11 Photo by cyclonebill

ねとらぼで記事になっている「第6の味覚は「脂味」 米パデュー大の研究チームが発見」という記事について、コメントしてみます。

ねとらぼの記事によくまとまっていますが、この論文では今のところの定説である甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味に加えて新たにOleogustusという脂肪の味?というのを提唱しています。これ自体はいろいろな研究者が主張しているのでいつの日か脂肪の味は基本味として認められるかもしれませんが、まだ誰もちゃんとした証拠をつかんでいないわけです。

かなりボールドな、大胆な主張ですので、これが本当であればもっとインパクトの高いNature誌とか、Science誌に掲載されてもしかるべきな研究成果なのですが、この論文が受理されたのは味覚や嗅覚の専門誌のChemical Sensesですので、読者はガチガチのその分野の専門家だけになります。まあNatureとかは投稿してもダメだったんでしょうね。

Chemical Sensesはこの分野の専門誌なので、レビューもまともな人がやるので悪い雑誌じゃないです。ヘタするとNatureよりもまともな査読になります。なので、一応行った実験の手順やデータはオーケーなんでしょうけど、Chemical Sensesにしては珍しく、この論文は結論がちょっと飛躍している印象があります。

まだPDFがダウンロードできなくって、Abstractプレスリリースしか読んでないのですが、この論文では心理学的な手法でボランティアの学生さんとか少額の謝礼を払って参加してもらった外部の人に被験者になってもらって、いろいろな味の液体を味わってもらってグループ分けしてもらうという手法がメインであるため、彼らの大胆な主張を十分に裏付けるには、かなり弱いです。もちろん液体の色とかにおいとかで差がでないようにいろいろと工夫をして、味だけで違いがわかるかを測るように注意して行われているので、人がnonesterified fatty acidsを他の味と区別できるということについてはまあ間違いないと思うんです。

ただ、それで世間が納得するかというとそうは行かないとおもいます。例えばリンゴも色々と味に違いがありますが、基本味の比率の違いや、食感の違いなどなどの組み合わせで味覚の認識が違うのは当たり前なので、「区別できる=基本味である」とはならないとおもいます。

Abstractやプレスリリースで触れていますが、被験者は”脂肪の味”になれていないので、はじめは”苦味”として認識してしまうといっています。そこで、旨味と苦味と”脂肪の味”の3つを区別するように頼んでみたらちゃんとできたよって内容です。

カプサイシン

砂糖と10倍濃度の砂糖を区別してもらって、区別できたらば基本味を増やさないと行けないのでしょうか?と考えると論理の飛躍というか無茶加減が分かって頂けると思います。(カプサイシンは痛覚でした)

本当にこの結論を受け入れてもらおうと思ったら、nonesterified fatty acidsに対応する味覚受容体細胞とか受容体タンパク質を同定するとか、色々すべきことがあります。

追記。スラドの書き込みで、京大農学部の伏木先生らのグループがCD36というfatty acidsに特異的な”受容体”をすでに同定しているらしいです。少なくとも2007の話らしいので、後出しでOleogustusとか命名までしちゃって図々しいなぁと思いますが、これが定着したらやったもの勝ちなのも事実。うまくやったなぁ。

CD36は脂肪酸以外にもいろいろコラーゲンとか受容する見たいだし、舌だけじゃなく鼻にもあったりするので基本味として認められるまでの道のりはまだ掛かりそう。

以前、第六の味覚:「カルシウムっぽい」発見かというのも話題になったりで、基本味が5つというのは揺れているのは間違いないです。

いま苦味として知られているものはものすごく沢山の化学物質が含まれるので、これを全部一緒にして、ひとつの”苦味”でいいのかというのは議論のあるところですし、旨味のグルタミン酸もはじめは苦味の一種だろうと考えられていたわけなので、基本味が5つのままでいつまで行くかについては個人的にはかなり疑問に思っています。彼らも脂肪の味が基本味であるという主張をしているようです。

ただし、そうするとどこで線を引いたらいいのか?となってきて、難しい話になります。なので、時間はかかるのかなと思います。

2015年5月25日 (月)

ガラス化法により低温保存してから生き返らせた線虫は過去の記憶をもっている。

Persistence of Long-Term Memory in Vitrified and Revived C. elegansという論文の紹介です。PDFもあります。

Vitrification、ガラス化法とは?

Vitrified and Revived C. elegansとはなんのことかと思って調べてみたら平たく言うと線虫を”冷凍”保存してから蘇生したということらしいです。

Vitrifiedという単語は聞き慣れないですが、What is Vitrification?を読むと分かりやすいですが、分かりやすく言えば卵子なのど細胞や小さな単細胞生物などの”冷凍”保存法のようですが、急速に冷やすことで氷が出来ない状態で固化するので、”冷凍”という言葉は不適切らしく、ガラス化法とか訳される場合もあるようですが、多分まだ訳語は定まってないでしょう。

ガラス化法を使うと線虫のような小さな生き物をグリセロールが入った溶液に漬けて、専用の機械で急速に冷やして低音保存することで長期保存可能になりますし、必要になったら専用の機械で急速に温めてやると高い確率(ほぼ100%)で生き返るようです。

うーむ、こんなことできるのかという感じです。

論文の内容

で、ようやくこの論文の内容ですが、線虫の幼虫にものを覚えさせて、Vitrificationを行い固化させてから-80度で2週間低音保存し、溶かしてからまだ覚えているか試したところ記憶が確認できたという話です。

このVitrificationという方法では急速に冷やすことと、氷の形成を防ぐグリセロールの効果で氷が膨らんで細胞を破裂することを防ぐため、細胞に対するダメージが少なく、細胞内や細胞間のタンパク質とかもよく保存されているということで、記憶まで保存できていたという話ですね。

人間でも可能なのか?

まあ上記の論文の方法ではグリセロールをうまく浸透させないといけないので、相当小さな生き物でしか高確率で生き返らせるのは無理ですが、より大きな生き物でも生き返る確率は低いですが出来なくはないと思われます。

実は氷の張った湖に落ちてしまい一時間以上心肺停止状態になってから発見されたようなケースでも、蘇生して、元気になり、脳にもなんら異常がなかったという報告は結構世界中にあります。当然、記憶も残っているわけですから上記の論文の売りの部分の「記憶が残っていた!」という部分はよく考えるとあまり新しくないぞと突っ込みたいところです。

しかも、水の温度が低いほど蘇生する可能性が高いのだそうです。つまり、ゆっくり冷やされて氷ができるよりガラス化法に近い形で速く冷やしたほうがダメージが少ないということでしょう。同じ理由で、発見されてから蘇生の手順もVitrificationのようにできるだけ急いで温めた方がおそらく生き返りやすいでしょう。

ただし、人間のように大きい生き物の場合、グリセロールの浸透も難しそうなので高確率で蘇生するのは難しいでしょう。

私の場合、グリセロールは食品中にもよく入っている化学物質なので、美味しいお刺身を世界中に輸送できるなぁと考えてしまいました。ルイベと違って寄生虫の除去は出来ないと思うけど味が落ちない低音保存法としてコストを考えなければ使えそう。

2014年9月14日 (日)

ホジキン・ハクスレーモデルが否定される?

Medical News TodayのRSSフィードに流れてきた記事「Study confirms that nerve signals are sound pulses」というのが、なんだか衝撃的な内容だった(ホントなら)。元論文が、Physical Review Xとかいう2011年にできたオープンアクセスかつ、物流系の雑誌なのでちょっと眉唾な感じがあるので判断が難しい。

デンマークのコペンハーゲン大学のThomas Heimburgという人のグループが2005年のPNASの論文で提唱した「活動電位の伝達はソリトン」であるという仮説があるのだそうで、それによると活動電位は音波が伝達されるように細胞膜が硬くなったり柔らかくなったりすることで伝達するのだそうです。

耳を疑うような大胆な仮説ですね。どの教科書にものっている基本中の基本であるHodgkin and Huxleyの説を真っ向から否定しています。

根拠となっていたのは、1958年の論文で活動電位が伝達する過程での熱の発生を測定した結果なんだそうで、Hodgkin and Huxleyの説が正しい場合活動電位にともなって熱が発生するはずが、測定結果では伝達にともなって発生した熱がが、すぐさま吸収され、正味ではゼロになるかららしいです。

これを説明するには、活動電位はpropagating electromechanical pulse(電気機械的パルス?)であると考えるとよく説明できるらしく、彼らの2005年のPNASの論文では、細胞膜の脂質は、体温に近い温度でchain melting transitions (位相転換?)を起こす性質があり、その結果、細胞膜が収縮し、細胞膜上にソリトンの伝達が起こる可能性があるという感じで、これに熱の発生・吸収が伴うらしいです。

今回の論文

で、今回の論文はじゃあ、活動電位がソリトンだったら行き違った活動電位は消えずにすれ違うよね?ホジキンハクスレーだとリフラクトリーピリオドがあるので活動電位が通った後の細胞膜は不活性になっているので、活動電位がすれ違おうとするとお互いに相殺するはずだよね?と予想し、実際に測定してみたという内容。

Soliton_model_of_ac

こちらの図がソリトンモデルが予想する伝達の様子。

実験の結果、予想通りにみごとにすれ違いが起こって、何事も無かったように活動電位がそのまま伝達されていくのでソリトンの勝ちという話。

ディスカッション

ふーむ、まずRefractory periodってせいぜい1-2 msじゃないのだろうか。逆方向からのスパイクを消せるくらいの効果が本当に期待できるのだろうか。

そもそも相殺しないとホジキンハクスレーがほんとに否定されるのだろうか。

これロブスターの体節を走るぶっとい軸索神経でやったみたいだけど、ミエリンがあるような普通の神経でも同様なことが起こるのだろうか。

アクソンヒロックあたりの活動電位の開始部でも同じことが起こるならまだ信憑性が出てくるけど、軸索だと普通はそっから活動電位は発生しないので、Refractory Periodの話とあまり結びつかないんだけどな。

chain melting transitionsの話も、大体100m/sで伝達するような活動電位を考えた時には細胞膜が1nmくらい収縮すると予想され、上記の位相転換が起こったときの収縮予想とよくあっているらしいけど、それだとこれはミエリンがある軸索での伝達速度は説明できるけど、無脊椎動物とかのミエリンなしの場合の遅い伝達速度を説明するのに困っちゃうと思うんだけど。

ソリトンだとそもそもミエリンで絶縁する意味が非常に薄まる気がするんだけど、ならなぜ一生懸命絶縁するのだろう。

つーか、水生動物のほとんどは変温動物で、体温は水温より1度くらい高いくらいだ。人間でも風邪引くと体温結構変わる。温度によって活動電位の速度が大きく変わったり、伝達しなくなったり、いろいろと問題ありそう。

この元論文もPNASに乗ったとはいえ、PNASはまともな論文といい加減な論文が混在するので油断できない。残念ながらやっぱりとんでも系の論文に見える。

物理畑の人が生物学の問題について書く典型的な論文だなこれ。壮大な風呂敷を広げて、真ん中に大穴が開いている系。

数式とか、沢山あって、レフリーが生物学者だと「おお、なんかわからんけど数式が凄いからOK。」と思い、物理系のレフリーだと「生物学な問題はわからんけど数式はあっているからOK。」とかいって論文を通してしまうんだろう。

NEURONとかでちょこちょこっとモデルして、ホジキンハクスレーのままでいいじゃんというストーリーで反証するような論文かいてみたら面白そうかなと思った。でもそれをPhysical Review Xに投稿するとたぶん論文はあっさり通ってしまって、1500ドルを著者が払うことになって出版社の思う壺だな。この約15万円も元をたどれば税金ですよ。eLifeという出版費用がタダなオープンアクセスジャーナルもある見たいなので、こっちで反論すべしだな。

まあ、気になった方は元論文を読んでみると面白いと思います。オープンアクセスなので自由に読めます。

おまけ

2007.6.14のWired.jpの記事新説:神経の情報伝達は、電気ではなく「波」というのを見つけました。

面白いのは著者のこの発言:

とはいえ、JacksonとHeimburgの両氏は、新説が間違っている可能性が高いことも認めている。ただし、検証の価値はあると考えている。 「われわれは間違っているかもしれないが、正気を失ったわけではない」とJackson氏は語った。

2007年から温めたアイデアを2014年に実験で実証しようとした執念はすごい。しかし、ほんとにこれで証明できているのかもっとよく考えてほしい。

2014年8月14日 (木)

TiddlyWiki for Scholarsがやたらっカッコいい件。

Tw_for_scholar

tiddlywikiのGoogle groupsのスレッドにあったTiddlyWiki for Scholarsというのがすごいです。Tiddlerの下にくっつけられるウィジットがなんか強力そうだし、とてもスタイリッシュでかっこいい!!

アルファプレビューということで、empty版の配布はまだされていないですが、もうすぐリリースになると思われます。

2014/08/14の段階ではTiddlyWikiのバージョンは5.0.13-betaですが、TiddlyWiki 5.0.14-betaがリリースされると自動アップデート機能が追加される予定なので、製作者のAlberto Molinaさんは、その機能を使ってempty版をつくる予定だそうですので、使いはじめるのはちょっとまった方がいいですね。

おや、TiddlyWiki 5.0.14-betaが執筆中にリリースになりました!ただバグが早くも見つかったので、5.0.15-betaが24時間以内にリリースされる予定ですが。。いづれにしろ、数日中にTiddlyWiki for Scholarsのempty版の配布があると思われます。

Tiddlerの下にくっつけられるウィジットでは、コメントつけたり、関連した情報をいろいろと貼っつけることができるようで、なんか凄そうなんですが、ちゃんと試していないのでどうやって使いこなすのかわかりません。

empty版の配布がもうすぐなので、それから試してみますね。楽しみ。

追記) 2014/08/17日曜日にTiddlyWiki for Scholarsベータ版がリリースになりました。TiddlyWiki 5.0.14-betaを元にしているようです。同じ日にTiddlyWiki 5.0.15-betaへのアップデートもメーリングリストでは予告されてますが、それは待たないでリリースになったようですね。

下の方のHow toのところにある緑色のDownloadボタンからダウンロードできます。あとは自分のTiddlersをインポートすればいいですね。

使いこなすまで時間が掛かりそうですが、面白そうです!

より以前の記事一覧

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